
Towards Creative Entrepreneurship ― クリエイティブ領域における社会実装の可能性、その方法論を問う1dayカンファレンス
クリエイティブは社会を動かせるか
Creative Entrepreneurship(創造的起業家精神)[1]という概念を、それぞれ異なる視点から紐解いた。セッション1では、クライアントワークの外側に自らの制作環境を設計するデザイナーたちの実践を。セッション2では、行政・まちづくり・市民参加という、構造的に動きにくい領域での実践者による、その「動かなさ」への向き合い方を。セッション3では、クリエイティブな営みを経済合理性から解放するためのファイナンスとエコシステムの設計を問うた。
議論の中で繰り返し浮上したのは「再配分」という発想だった。石川さんが語った「ケアの再配分」は、会社員が市民として地域と関わり直す座組の可能性を指す。栗本さんは、補助金の使い方をわずかに変えるだけで、誰に届くかが変わり、社会の動きが変わりうると言う。岡田さんの「お金の編集[2]」という言葉は、クリエイティブな実践を支える構造への介入そのものをクリエイティブな行為として捉え直している。


また、複数の登壇者が「北極星」という言葉を使った。目的を最初に固定するのではなく、目指す方向を関係者と共有し、その関係そのものを育てていく。「散歩[3]を楽しもうという感じのプロジェクトが多い」という石塚さんの言葉は、この設計への信頼を素直に示している。クリエイティブを社会に届けるためには、作ることと同じか、それ以上に、その作ることを支える構造への介入が必要だという認識が、この日の議論全体に通底していた。[4]
このカンファレンスは、Creative EntrepreneurshipというASIBAの中心概念を外部に問う実験だった。「存在しないところに言葉を書いてから像を立ち上げようとしている」段階だからこそ、多様な立場の実践者を同じ場に招き、ズレを保ったまま議論することに意味があった。

セッション1|「製作しつづける環境」をデザインする
資本主義社会において、クライアントワークだけでは実験的な表現や創造が難しくなりつつある。自ら事業や仕組みを立ち上げ、「製作しつづけるための環境」をデザインするデザイナーたちの実践を通して、現代のクリエイターが能動的に創造するための環境と、その新たなモデルを探った。
ゲスト:生駒崇光(ICOMA Inc. 代表取締役)、大日方伸(積彩 CEO/デザイナー)、林登志也(we+ デザイナー/クリエイティブディレクター)
モデレーター:連勇太朗(建築家/@カマタ取締役)

セッション2| 動かない社会をどう動かすか — 構造に挑むためのアントレプレナーシップとは
行政や市民参加、まちづくりといった領域は、複数の制度・組織・関係性が交錯し、簡単に変わることはない。それでも暮らしに密接に関わる領域だからこそ、そこに変化を仕掛ける意志と方法が求められている。[5]
ゲスト:石塚理華(公共とデザイン 共同代表)、石川由佳子(for Cities 共同代表理事)、栗本拓幸(Liquitous 代表)
モデレーター:髙野広海(ASIBA Producer)

セッション3| 社会変革を見据えた、新たなクリエイティブ・エコシステムを考える
現代社会が直面する課題の多くはあやふやで不確実性が高く、伝統的な市場原理だけではその打開は難しい。建築・デザイン・アート領域等が持つ「創造的で美学的な未来への視座」の可能性を経済合理性から解放するための、新たなエコシステムの姿を考えた。[6]
ゲスト:岡田弘太郎(デサイロ代表理事)、中路隼輔(ANRI プリンシパル)、古市奏文(SIIF インパクト・カタリスト)
モデレーター:森原正希(ASIBA Co-CEO)
