ASIBA
旬の解体材デモオークション 2025秋
STUDIOEXHIBITION

旬の解体材デモオークション 2025秋

# 解体材# 値札# シンク・天板・型板ガラス# オークション# 母の値引き術
Duration2025.09
Producer二瓶 雄太
Exhibition Designer重松 希等璃
Director神田 慶彦, 森原 正希
Graphic DesignerN from 研
Client株式会社竹中工務店
Partner福井 彰一(竹中工務店), 長谷川 完(竹中工務店)
Chief Director本多 栄亮(ReLink)

値札がなかった

この企画が生まれる数ヶ月前、インドネシアの屋外市場[1]を訪れたら、売られている服に値札がなかった。「これいくら?」と聞くと、「いくらでほしい?」と返される。すぐには答えることができず、その言葉を反芻する数秒間、自分にとってその服はどのような意味や価値を持っているのかが宙吊りになる感覚を抱いた。モノの価格が事前に定まっている状況に慣れすぎた僕らは、自らの判断軸で価格をつけることが苦手で、不安すら覚えるのではないだろうか。

 自分で価格を決めるということは、その価格を根拠づけるだけの知識や経験、あるいはそれを所有・利用したときの価値をわかっていないといけない。つまり、「使う」ことや「欲する」ことは、一般的に考えられているほど受動的な行為ではなく、むしろ高い能力が求められる行為だといえる。

解体材の価格とは

逆に、日常でいちいち価格交渉をせずにすむ理由は、一定以上の需給が常に確保されて市場が安定していることに加えて、それだけ生産ラインが標準化されており、ひとつひとつの鉄骨やタイルの品質にほとんど差異がないからである。「4mの床板がほしい」と思ったときに、前回頼んだときと全く同じ寸法、重さ、材種、状態の床板が届くことが当たり前になっている。解体材は、そのような前提を根底からひっくり返す。

 例えば、解体材の「カタログ」はつくれない。そもそも「同じ」モノは存在しない。当然、現場によって出てくるモノは大きく異なる上に、例えば同じようなタイルを扱っていても、どこで使われていたかによって状態も違えば、文脈も違う。それぞれのモノが、代替可能な記号としてではなく、それぞれに固有な情報を持つ物体として立ち現れる[2]。そしてその度ごとに、目の前のものを「鑑定」することが求められる。

オークションによる再価値化

ここでは、解体現場からサルベージ(回収)[3]した部材や什器をオークションという形で再価値化する試みを、竹中工務店の協力のもと行った[4]。ReLinkやASIBAのプロジェクトを通してこれまで関わってきた解体の現場から、10種類以上のモノを扱った。オフィスの洗面台や民家の外壁タイル、空調の室外機カバー、YOHJOH (Kameido)の手すりなど、大小さまざまな部材が並んだ。

[3]室内ドア
[3]コンクリートブロック
[3]洗面器
[3]鍵付きドアノブ
[3]水栓ハンドル
[3]電気の露出配線ボックス

特に意識したのは、「古材」といわれる古民家の柱や梁、建具など、すでに中古材販売市場が確立されている解体材ではなく、より工業製品に近い量産品や、経年変化が価値とみなされにくいプラスチックや集成材などの素材をあえて取り上げること。現在の建設産業においてはむしろ主流となっているこれらのモノは、まだリユースの対象になるほどの需要が見出されず、ほとんどがリサイクルか最終処分される。

 こういった標準化された技術によって産み落とされたモノの残骸を、改めて価値化するための技術とはどのようなものか。それは目の前のモノに潜在している活用可能性を引き出し、文脈を整え、新たな役割を与え、具現化するための諸技術を重ねるような、「使い手の想像力」にほかならない。本企画を通して多くの人の「想像力」をお借りして、いくつものモノに新たな可能性を見出せたことを嬉しく思う。

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かための枕です。早く起きたい日に!